「エリザベス−華麗なる孤独」石井美樹子

イングランド王家の(イギリスというか英国王家のではない、この時点でスコットランドは統一されていないので)(この次の時代に彼女のライバル的存在だったスコットランド・メアリの息子がエリザベス1世の後を継ぐ形で両家を統一)エリザベス1世は、まあイギリス歴代の王の中でも1番か2番か、という人気を誇り、現在もイギリスの絶大な女王人気の大本となったような人物なのですが、さてなにをした人か、というとどうも怪しく。
この本ではさらに徹底して人間関係に焦点を絞っていたので、彼女のいささか破天荒な父親が何番目の王妃をどうして振ったのか、ということを正しく証明することに延々と力を傾けているというか、まあそういう感じの本なんですが。
ただ、このエリザベス1世は生涯結婚しなかったことや、何人もの「婚約者未満」の存在をそれぞれの時代、それぞれの国家関係に応じて抱えていたようなちょっと特異な人生を送っていたので、そこを丹念に追っていくことにもそれ相応の意味があったということは思いますね、なんというんだろう、王位に付いた時点で若いとも言えない女性なのですけれども、逆に言うと彼女と結婚することでイングランド王位を手に入れられるということで絶好の撒き餌になり、当時の交通事情のせいで大層な時間を稼ぎ、正直何度かそれで戦争を回避していたんじゃないか、ということをゴシップの側面から見るのはなかなかの迫力がw


彼女の姉メアリが敵国とすら言えるスペインの王家と縁組し、それに引き摺られてしまい、スコットランド・メアリも幾度も男で失敗しているんですが、エリザベスはそういうことが全くなく、むしろ逆、素晴らしい政治家とは言わないんですが素晴らしい女性統治者だったと思うし、だからこそ非常に孤独だったと言われたら納得しないわけにいかない。
私は政治の側面から見たいな、と思っていたんですが、こういう本も悪くなかったかな。