『探検バクモン』ゴルゴ13の秘密基地に潜入せよ!(完結編)

前半で分業制に関しては(今も珍しいんだよなぁ、これ、原作付きとか編集さんとのコンビってのはたまに聞くけど責任が曖昧みたいだからちょっと違う気がする)前回でほとんど扱ってしまったので後半なにをするんだろう、と思ったんですが。

もともとこの作者さんは映画が好きで、映画が好きなものの当時は大学卒業のインテリのものだったので手塚さんが世に出てきた時に「これだー!」と飛びついたらしいんですが、そもそも世が手塚漫画一色だった時代に自分のカラーを見つけ出すのにだいぶ迷ったそうで、黒澤映画じゃなくて彼のエンタテイメントが好きなんだよね、ということを自覚した頃には彼のカラーになっていたんじゃないでしょうか。

エンターテイメントは説教になったら終わりだよね、というのは個人的には賛成。

いや、説教してもいいと思うんですよ、私は、ただ説教で締めてそこで終わりになるべきっていうか、長い話の最後に作り手の意思が見える分にはすごくいいと思うんだよね。ただ、ずっと見ていたいって関わり方とは合わないと思うんだよね、だってそれ“現実”だし。

そういう言い方はしてなかったんですが、45年もの長期連載をしてる人だからこそって気もするんですよね、ずっと喋らない感情を見せない主人公で、そこにリアリティがないからそこ以外のリアリティを重視するってのは、フィクションのが上じゃん。

でも作り手の感情って作品の中に入れ込むと(んでやっぱり他のところで語る分には別にいいと思う)作品よりも上になっちゃうしなー、説教だからってより、なんか違う気がするんだよな、そういうの。

 

ある意味でこの方は作り手ってよりも見る立場のまんまなのかなぁ、という気がします、芸術家じゃなくて職人さん。手塚さんとは本当に対極なんだろうな。