『ビブリア古書堂の事件手帖』#11≪終≫江戸川乱歩「押繪と旅する男」

一つ前の話までとにかく栞子さんのお母さんの言動が怖くて怖くて、正直悲鳴を上げながら見てたんですが、ああ、うん、手に入るってことがわかってたら待つくらいのことは出来るのか、というかこのお母さんが怖いのは明らかに人間の機微や情にむしろよっぽど敏感だからじゃないかと思うんですが、古書が絡むとその他人の感情をどれだけ踏みにじっても全く気にしない(それ以外だと実に情に厚い)、という差異が恐ろしい。

栞子さんは他人の感情そのものが怖いんですよね、でも多分お母さんと同じようにそれが人よりわかる、だから、他人の感情に鈍いけど、感じ取ったそれに本当に真摯な主人公のことを気に掛けるというか、多分この話は、そういう視点で見てない限り面白かったってことはないんじゃないかなと思います。謎解きはまあ良かったけど、一部難しすぎたしな…。

それがきちんと解りやすい作りになっていたかというとちょっと疑問。

同時期に見てた『カラマーゾフの兄弟』のように、必要ない部分を極端に削ぎ落として説明よりも大事な部分だけをクドかろうと繰り返したみたいな工夫みたいなものはなかった。

ただ私にはこのドラマは面白かったです、原作の手柄が大きいのだとしても、栞子さんの描き方も主人公の描き方もその間で積み重なっていく関係も好きだったな。

 

乱歩の初稿原稿が入ってるはず、とお母さんが見当を付けていた金庫の謎を解き、中にある原稿は違う、マニアだった先代主人の書いたものだ、という話と、さらに金庫の置かれていた時期から「本当の」原稿の正体に迫る展開は良かったんですが、んー、ちょっと姉妹の入れ替わりの意味がわかりにくくなってたかも(メリットが強調されなかったしね)。

お母さん関係もそうなんですが、全体的には弱いかなー、と思う部分もありました。

まあでも変に煽るような部分がなかったから別にいいか、面白かったです。