「線路を楽しむ鉄道学」今尾恵介

線路を楽しむ鉄道学 (講談社現代新書)

線路を楽しむ鉄道学 (講談社現代新書)

地図が専門の人らしいので、鉄道で歴史関係を扱った人ならだいたい見当が付くと思うのだけれども正直なところ「地図が正確ではない」ので、うん、あれ結構困るよね、というのがこの本にもところどころで現れていたんじゃないかなぁ。

ただ、その曖昧さがむしろいい方向に出ていて読めたのが踏切に付いた名前や橋梁に付いた名前と公式の地名との関係を語り、当時は実際こう呼ばれていたのでは、と言及してた辺り、地図と現地での呼び方が違うってことは結構あるし、踏切作ってる時点での土地の呼び方が採用されてるのではってのは面白い発想だよね。

地形に関しての技術等々に関しては特に疑ってないし、私鉄に関しても路線の建設途中で力尽きる、などの外から見てわかりやすいこと、戦時中から戦後の不要不急線などの関係は順序立てて調べられていると思えるものの、実際に土地の権利者と揉めて、というのが地形問題に置き換えられて語られていたので、あー、と。

(京王線の笹塚Sカーブですね、府中のは鉄道忌避伝説の類だけど笹塚は地主単位だから勘違いっていうか、近所なんでわりと普通に知ってます、つか多分駅ビルも揉めてたんだと思う数年くらい計画出なくてさーあれ、理由が全く公開されてないんだよな…うん。)

個人的には古い勘違いは土地の人間のもので意味があるんだけど、新しい勘違いって思い込みだし勘弁して欲しいかも…。これ多分頭だけで考えちゃったんでしょうね。

 

いささか難易度が高くて読み方がわからなかったのが勾配に関してで、可能不可能とか勾配のために大回りなどは頭に入ってくるんですが、ここからここまでがこういう勾配でこっからこのカーブで、という展開がどうも無味乾燥。言葉だけで説明されてもなぁ。

実際に乗ってたりすると違うんでしょうか、まあ、著者さんが好きなんだろうな、勾配。