「ゼロ戦から夢の超特急-小田急SE車世界新記録誕生秘話」交通新聞社新書008、青田孝

ロマンスカーって戦前からぽちぽち名前を聞く一般名詞に近いものだと思ってたんですが、あれ、小田急が商標登録しちゃってるんですか…ただ、私鉄の中でも後発組になるような気がするんですが、その辺のところどうなってるんだろう。さすがに戦前からの名前を変えさせるようなことにはならないとは思うんですけどね。

あとあの、確かこれ、小田急最初じゃないよね(全体史とか他の私鉄とかよく読んでるので)、ということが、微妙にそれっぽい表現になっていて、どう判断していいのかちょっと困る本ではあったかなぁ。SE車そのものに関しての情報は信頼してるんですけどねー。

タイトルにある「ゼロ戦」の文字は実際に戦闘機の研究をしていた方が戦後になるべく平和利用に、ということで選んだ先だったらしいですよ。前に読んだ隼関係の人は林業に関わってたから(おかげでアメリカの同業者に痛ましそうな目で見られたけど本人は気付かなかったww)いろんな道に進んでそうだなぁ。

 

そもそも日本の電車では都市間鉄道が主で高速化という概念そのものがなく(アメリカなんかがその方向だったからでしょうね)、小田急は特に線路の状態が良くなかったので高速化を行うに当たって車両の性能の方向に進まざるをえず、同時に軽量化も行わなくてはならない、ということで、正直いろいろ大変だったんだろうなぁ。

ただ、大雑把に見てる限りでちょっと台所事情そのものも余所と比べて厳しいよね? その辺の水準をご存知ない方なのかなぁ、と読んでいてちらほら気になりました。

けれど、そうやって苦しい状況だからこそ誕生した車両に関しては、その分、その後の日本の高速鉄道の土台になったってのは、逆にすんなりと理解出来るんだよね。SE車こそが小田急の戦後の評価の始まりだったのかもなぁ、と、今となるとわかりにくいのかしら。