「日本の蒸気動車(下」RM LIBRARY-104、湯口徹

日本の蒸気動車 下 (RM LIBRARY 104)

日本の蒸気動車 下 (RM LIBRARY 104)

 

 

いくら薄いRMライブラリーでも上下巻を通して読んで「やっとどんなものなのかわかったような気がする!」という状態なのは本当にどうかと思うんですが、面白くなかったかというと結構面白かったです、正式の手続き書類とか地方の記録くらいでしか見れない規模の私鉄が多かったわりに、戦時中の石油不足になんの対策もしてなかった国東鉄道は国鉄に泣きついてガソリンカーの代替車両としてこの蒸気動車を2台借りて、ところがどうもだいぶ相性が良かったらしくて払い下げ申請を延々としてたとか、地味に楽しい内容がww

工藤式だと思うんだけど、何式だったんだろこれw

押し付けられたとか付き合いの関係で入れたけど使い出がなくて放置してたとか、国有化されたけど車両は省籍にならなかったね、とか、ある程度この辺の読める人なら結構面白いと思います、なんでデータ間違えとんねん、とか、改番されてんのこれ? とか入れ替え車両として不向きなせいか車両不足の時期にも売れなかったよ、とか、派手な内容はないんですが本当にこの形式のこと好きなんだなぁ、著者さん、すごく細かい。

 

そもそもSLとの明確な違いがなかなかわからなかったんですが、ガソリンカーの代替として登場するところを見ると走行中に石炭を足す必要はない、んじゃないかな。これ自体がわりと過渡期の技術じゃないかと思うんですが、技術そのものは多分次のガソリンカーにかなり転用されたんじゃないかと。

そもそも電化技術が実用化されるくらいの頃に最初のセルポレー式が出てること考えると非主流だった存在だろうと思うんですが、戦中戦後の燃料不足の時代には結構重宝された様子。サイズが曖昧だしばらばらだしそもそも1台2台、多くて数台って単位の話なんですがまとめられてると面白かったです、やっぱり本は切り口次第だなー。