「もの言えぬ証人」エルキュール・ポアロ14、アガサ・クリスティ

もの言えぬ証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

もの言えぬ証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

昔この本を読んだ時に犯人に非常に強烈な印象を覚えたものですが。

当時とは違う訳で読んだ今回、なんだかベラの夫であるタニオス氏のことが気になったというのは結末を知っているからなのか。それとも年齢を重ねたからなのかなぁ。

 

とある老婦人が飼い犬の愛用のボールを踏んで階段を転げ落ちまして。

しかし、あとあとよく考えてみると夕方犬は外に出ていて帰って来たのは彼女が階段から落下したのち、一度いつものくせで老婦人本人がボールをしまいこんでいたのだとなると、他人に言い張るだけの根拠ないにしても当人はどうしても心穏やかではないよなぁこれ。

ポアロ氏に手紙を書いたものの、説明が曖昧になってしまったのもわかる気はします。

なぜかその手紙が数ヶ月も遅れて届いたことでポアロ氏の興味を引くも、彼女はもうすでに亡くなったあと。死んだ人への殺人未遂なんて別にいいじゃん、とヘイスティングさんは言うわけなのですが(ところでどっから湧いて出た)(奥さんを残して一時帰国してたのかな? と解説では推測しています)。

生前の交霊会でのちょっとした証言と、それと死の寸前の遺言書の書換えをし、さして長い年月使えたわけでもない召使に財産を全て譲ってしまったらしいとただごとではなく。それはまあ、最前の階段転落事件が原因だったらしいんですがね。

 

皆、それぞれがどっかしら怪しい中。

野心のある医師やら(医者多いなw)、それこそ往年の毒殺魔と疑われた女性の子どもなんかもいるわけで、ポアロさんが誰を疑ったのかというと、まあそれはお楽しみ。

なんかこう、切ない動機だよなぁ、これ。一人芝居じゃないか。