「ナイルに死す」エルキュール・ポアロ15、アガサ・クリスティ

ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

コーネリアもいいのですがロザリーも捨てがたいと思うんですが。

とりあえずポアロさん的にはロザリーのほうに傾いていたといえなくもないでしょうか、まあただ単にコーネリアは特になにかしなくても自分で自分の道を見つけるしっかり者だからに過ぎないのかもしれませんが。

それにしても相変らずの世話好きです。

「この船はただいま不思議空間でね、殺人以外のことは大抵見逃されるんですよ」と、今回のポアロさんの相方が呟きました通り、隠し事がなかったのは本気でティム青年の母親だけじゃんというかなぁ。いつものことながらこんがらがる状況の描写の仕方が見事です。

 

だって全部書き出してそれだけ見せると笑って済まされかねないもん。

あ、コーネリアと医者もなんもなかったか。

 

とある金持ち超美形の女が、さっくりと親友の婚約者を分捕りました。

そのため、その親友に付回されることになりましての船の中、ある夜その彼女は頭にピストルで穴を開けられてしまうことになったわけで。

しかし親友にはかなり確固としたアリバイがありました、その前に自分の婚約者だったほうの男を撃って重症を与えていたわけですよ。その後、反乱狂になって一晩中看護婦が付いていることになったのでさすがに不可能だろうね。

悪意の在り処とその形が問題になるのであろうこの話。

財産も美貌もなんの役にも立たなかったんだなぁ、という言葉がとても印象的でした。ある意味で加害者なのかもしれないけどね。