「鉄道と近代化」原田勝正

アジアではほとんど「植民地の鉄道」として作られていた鉄道が、日本では初期に確かにお雇い外国人の存在が強くあったとはいえ、なぜ比較的にスムーズに発展してったかというと、エドワード・モレル氏や良心的な技術者(ところでなんで日本に骨埋めてくれたんだろう、本当に熱心で過労死してしまっ...orz)の存在はもちろんあるとして。

案外、たくさん輸入しようとしたら南国風の機関車が来たとか(多分軌間が同じセーシェルらしいです、セーシェルはインド洋!)、どう考えても天井部分が開けっぴろげでは日本では使えないので改造する以外なかったとか。イギリスから買ってたらドイツのが安いと気付いた上に性能も良く、しまいにアメリカのになったっていう経緯とか。

微妙に自分たちでやるしかない偶然の産物もあるような気もしますが、まず車両作る前に鉄鋼業を日本で育成しなきゃならない! という段階から間に合ったのは素直に日本人の能力を褒め称えていいと思います、必要は発明の母とかも言うかもしれないけど、一体どの尺度から急がされてるんだろう。鉄鋼に関しては日本国政府は所有権を主張していいと思う。

(鉄道は若干駄目な気がします、というか鉄道網は民間が主だ民間が。)

 

この本はどうも講義を口述筆記する形で書かれたらしく、まあ実際、ぽんぽん時代が飛んだり急に私鉄の話になったり(井の頭線の戦時被災だの小田急と京王の地下鉄乗り入れの違いだけ語られてたので、ちょっとびっくりしました、地下鉄関係は乗り入れも含めてすっ飛ばしてたのにw)。参考文献も見つけるの無理だったんだろうね、そりゃ講義じゃなあ…。

とは思うところもあるものの、時代や地域、特性よりも流れのほうを重視してくれているので概ね読みやすいかと思います、鉄道素人でも頑張れば読めるんじゃないかなこれ。

中央集権化と鉄道、に関してはちょっと不満、半端だった気はする。技術系の本ですね。