「愛国殺人」エルキュール・ポアロ19、アガサ・クリスティ

愛国殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

愛国殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

ポアロさんが歯医者に行く、ということが当の歯医者さん以外の全員に治療と思われてないわけですが、いつもの審美眼の冴えも冷静さもなく、並ぶ患者の駄目、これも悪党と烙印を押して、治療が終ったあと(なんであそこまで腕がいい歯医者さんなのにあんなに怯える必要があるのかしら)。「彼も治療が住んだら紳士に戻るだろう」と優しく考えているわけですが。

実際そこに悪党が少なくとも一人はいたかもしれないことは後に判明しました。

 

なんかその当日、その歯医者さん亡くなっちゃったんですよね。

で、ポアロ氏はぺらぺらぺらぺら、と快調に喋り捲ってた歯医者がその後自殺したったのが信じにくいわけですが(私もだ)、なんだかその後、当日治療された男の一人が投薬量の間違いで帰宅後急死していたことが判明し、それでじゃないかな? という流れに。

投薬ミス、体質に合わないというような事件はたまにありますものの、ちょっと質が違うというか歯医者の腕を知っている人間にはないと感じる内容のようでもあります。

で、ポアロさんもそれを信じない。

そこに絡んできます、当日の治療者の一人だった女性の失踪。

なんだかぽちぽちと現れてくるスパイの影、当日の治療者の一人がかなり有名な銀行家だったとか、歯医者がそもそも治療助手の女性の恋人に反対してたからそれもあるのかなー、とか話はあっちこっちに飛んだりもするわけですよ。

結局、歯医者の腕が良すぎたからそんないろんな人間がいたのね、面倒だね。

フランク・カーターはなしだけど(お灸になるといいね!)、ハワード・レイクスは少なくとも可能性があるという結論でよろしいでしょうか。

ポアロさんが、今回一回も若い人の恋路に口出ししてないですよ、珍しい。