「満潮に乗って」エルキュール・ポアロ23、アガサ・クリスティ

満潮に乗って (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

満潮に乗って (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

まともな人はまあいないでもないんですが「いい人」が皆無ですね。

クリスティの作品って意外と悪意に満ちた話というのはあるんですが、ここまで徹底されているのはちょっと珍しい気はするかなぁ。ぎりぎりでリンくらいか。

でもポアロさんにスルーされてますね(でもこれ、単に彼がポアロさんの助言聞くようなタイプではないってだけかもしんないけど)。

いや、ロザリーンかな...orz

彼女を殺した犯人だけは許せないというポアロさんの気持ちはよくわかります。

もともとの事情でもなんも悪いことしてないけど、最後で判明した事実があんまり哀れで身につまされましたよ。よくまあそれで裏切れたもんだなぁ!

 

とある富豪が爆撃で死に。

主に彼の財産にぶら下がるようにして生きてきた親類たちが揃って路頭に迷う嵌めに。いや、結婚すると遺言書が無効になるそうなんですが、結婚してすぐだったので遺言書を書き替えてなかったんですね。

この結婚には多少キナ臭い部分はなきにしもあらずでも、しかし富豪の死因には一点の曇りもなく、新妻もほとんど半死半生だったしその兄も無傷とはいえほぼ偶然。

そして全ての財産は彼らのものとなり。

ばちばちとその兄と親類の間で火花が散らされることになりました。

そして、この新妻の「元の夫」が生きているかもしれないという事態に発展。

面倒なことに離婚していない場合、死んでないと結婚が無効になるんだとか。

新妻&兄の隠し事はびっくり(なんかあるのはすぐ知れます)、そっちか!