「鳩のなかの猫」エルキュール・ポアロ28、アガサ・クリスティ

鳩のなかの猫 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

鳩のなかの猫 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

クリスティ文庫ってあまり訳が良くないことも多いんですが、これはすっごいよかったです、思わず訳者さんの情報調べちゃったよ。ただ、話そのものは、クリスティさんの得意分野とは言えない、かな?

寄宿舎モノなんですが正直女の子たちより教師のほうに興味は向いていまして。

あんまりお好きではないのだろう諜報物再び、とはいえ今回はあくまでも国際謀略は脇の描写でしかなく、なんだかんだと言っても“とある女学校”を作り上げた偉大な精神である女性校長の話でしかなかった気もするかなぁ。

 

や、まあ、事件そのものは学園には完全に外から持ち込まれたものなんですが。

(それも当人たちも知らない間で、多分今後も知らないままなのかもね。)

 

とある中東の国で革新的だった王子が航空機に細工され殺され。

その寸前に彼が持っていたはずの宝石が消えてなくなっていた、というところから話は始まり、それは彼の学友だったアメリカ人、そしてその姉を経て、彼女の娘の持ち物に紛れ込んだらしい、ということが徐々に判明していくわけですが。

その彼女が寄宿舎学校に入っちゃってたんですよね。

で、そこで次々と殺しが起こるわけですよ、ちょっとこう、いつものクリスティ作品と違って非常に乱暴で手段を選ばない犯人というか。うーん。

魅力的な人物も結構いたんですが、この人たちが今後出てくるようなことはないんだろうなぁ、と思うとちょっと残念。

上げ底ブラジャーがすでにあったのは確かに驚きです(しかも意外と複線だ)。