「鉄道」産業の昭和社会史8、原田勝正

1988年の発行なので昭和63年…て、あら、高度経済成長期までしか書いてなかったんですが、そんな年に出てたのか。なにぶんにも全12巻なのでそうそう発刊時期が自由になるとも思いませんけどねー、計画時点では実際その頃だったんだろうな。

もともと鉄道の本をたくさん出しておられる方で、国鉄の本と明治の鉄道の本と、あと汽車から電車への転換期に関しての本などを読んだことがあります。ありきたりの鉄道本になってしまったのではないか、という心配をされていたんですが、まあどっちかというと今の鉄道マニアの人だと読みにくい本(馴染みの薄い内容)を書かれる社会派寄りの方かと。

大雑把に大正天皇の大喪列車から始まって、戦前最後の超特急への挑戦の話、それから満洲のほうへと主題が移りまして、そこからは延々と非常時輸送ですね。弾丸特急の計画も、もともと通常の運行と輸送がどうしても両立出来ないから出てきた話だしな。

(ただこれ、要するに電化すりゃ良かったんだよって禁句でしょうか、軍部の意向で電化するの嫌がったんだよね、非常時に電源壊されたらって発想も正しいんだけどなんだかなぁ、で、東京周辺の縦断の貨物路線が国有化されたのは結局その辺の絡みでしょうね。)

国外植民地の鉄道は、もともと日本が作ったのってあんまりないしなー、地域で独占出来ないと意味ないしね。ケージ戦争系の本なんかに詳しかったりしますね。

 

戦後はまず復興、と事故、それから組織解体、とシェアの低下と輸送量の増大という、地味に並立して考えるのが妙な題目がわらわら。モータリゼーションの進行によって国鉄輸送のシェアが落ちたのって、ものすごく急激だったんだよね。あそこに関しては国鉄の責任ではないと思ってます(そのあとに関しての責任どうこうはともかく)。

で、国鉄解体までで本はお終い。鉄道という括りだと、まあここまでしか語れないよね。