「ブラック・コーヒー」エルキュール・ポアロ34、アガサ・クリスティ

ブラック・コーヒー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ブラック・コーヒー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

確かによくよく考えてみると「目に入れても痛くない」くらいに可愛がってるヘイスティングさんのことを「鈍い言動をたたき台にして」という表現していたところとか、忠実で口数の少ない使用人のことを褒めていたりとか、今までのクリスティさんらしからぬ描写があったな、とは思ったものの、まあまあ良かったんじゃないでしょうか。

男って言われたら男だわこの書き方、クリスティさんの戯曲を小説化し、冒頭などに少しのオリジナルシーンを入れた、という作りらしいです。

個人的にポアロ氏がヘイスティングさんを馬鹿にしてるって表現を入れた部分は(気になる人もいるだろうし、全く気付かない人もいるだろうと思う)、ちょっとこの書いた方の嫉妬やら、普通の男にはその感慨はわからんのよ、とにやにや出来たので結果的には嫌いではないですよ、そうだよなー、彼、ただ毎回女性にふらっとしてとちってるだけだww

 

まああれです、いわゆる原子の特異な動きの研究が完成した、ととある科学者が言い出し、どうも家人がそれを狙ってるのではないかということを疑い始めた、とポアロさんに依頼したという国際謀略関係ぽい単語は散りばめられているものの。

この科学者がポアロさんの到着前にさっくり毒殺されてしまったのでわりといつもの話というか、科学者が頭脳明晰な探偵とどんな会話交わすのか考えるの面倒だとクリスティさんが考えていたとしても私はあんまり驚かないですだって面倒だよそれ。

戯曲を小説に直す段階でか、押し付けがましさがちょっと数倍に増幅されてましたが、まあ男性が書き直したんだからそうもなるよね、と納得。研究成果を狙ってのいざこざや、美しい妻や嫉妬するその男、いけ好かないイタリア人の医者とか、コーヒーに毒を入れての毒殺とか、いつもの話です。ところで犯人、影薄いわ、存在気付かなかったよ!!