「三井財閥史〈近世・明治編〉」教育社歴史新書 日本史136、安岡重明

ちょっと経済と違う方向から財閥の歴史というものに興味を持ちまして、とりあえず財閥と言ったら誰でも知ってる三井と三菱。それとあと企業自体の知名度はある住友、四大財閥という場合はこれに安田財閥が加わるそうなんですが。

そもそも日本において財閥とはなんぞや、というのは戦後の財閥解体などを経て曖昧になってしまっているのですが、まあどっちかというと「三井とか三菱のこと」で済ませたほうが早いような気がしないでもない、間違いようがないしね!

 

で、この4つの財閥を読むに当たって、まず手に取ったのが一番歴史の古い三井の、さらに一番歴史の古いこの近世・明治編、近世ってどこかって言うとあれですね、江戸時代、もともと呉服屋としてスタートしたようなんですが、これが大阪(上方っていうね)と江戸に仕入れと販売の機能が分離していた関係上、自然と両替商のようなこともしていたようです、で、大名に貸付をし、御用商人になっていたと認識してもいいのかなぁ。

明治に入っても大商人として政府に利用されることが多く、同じような立場の旧家が正直次から次へと潰れていく中でなんとか生き延び、ライバルのいなくなった分、家が強化されていく、ということを繰り返していき、明治の終わりに本社を作り、子会社の株式を取得させるというコンツェルンの形式を自ら作り上げた、というのがだいたいのこの本の流れ。

で、大正の初めくらいまでに他の財閥なども同じ形式へと転換されていったので、そもそも財閥の始祖と呼んでも見当違いではなさそうですね。三井物産三越百貨店なんかもこの時期にようやっと立場が確定したような感じです。

しかし、そもそも三井の家人たちは収益には預かれるけれど資産そのものには関与することが出来ないって仕組みだったんだね。それが生き残りの理由だったのかなぁ。