「都市デザイン」シリーズ後藤新平とは何か-自治公共共生平和、後藤新平

そもそも自治体の長に都市計画についての見識がある人間が付く確率は非常に低く、そういう意味で幸福なパターンはほとんど世界レベルで記録に残されている、というのが正直なところなのですが、日本での都市計画で一番知られている人というとこの後藤新平

実際には関東大震災(大正13年)以前の人口の急激な増加によっていまだインフラが前近代であった東京市の都市環境が悪化し、行き着くところまで行き着いていた、という事実が存在するため、後藤新平の計画が些か大仰であったとしても、個人的にはそう責められた筋合いではなく、そもそものその都市計画自体は、詳細についての異論はあろうとも医者とかつての植民地での都市構築の経験から(満鉄と台湾で経験済み、今でも評価は高いです)、非常に理に適ったものであろうということは特に疑ってはいないんですが。

ただ、なんだろう、今まで特にご当人の発言そのものを聞いたことがなかったんですが、正直申し上げてわかりにくい。既存計画の間違いの指摘だけははっきりと具体的なんですが、だったらどうすればいいのか、ということに触れないというか。

どうもこれ、学者肌の人に特有の曖昧なことは言及しないっていう性質なんじゃないのかなぁ、ということを考えてしまいますと、最終的に彼の都市計画そのものは実行されたものの、全体に関しては実現しなかった意味もわからないでもないかなぁ、というか。

後藤新平の研究者や、彼の周囲にいた賛同者の言ってることのほうがわかりやすいよ!

なんですかね、計画には向いていたものの、あんまり政治家に向いてなかったんじゃないか、彼はまずスポークスマンを立てるべきだったんじゃないのか、とあらぬことを考えてしまうような内容でした(明らかにその意図で作られた本ではないんですがw)。

 

街路がなければ、今に酷いことになるぞ! というのは、現代人には疑う余地ないねw