「鉄道をつくる人たち-安全と進化を支える製造・建設現場を訪ねる」交通新聞社新書053、川辺謙一

 

鉄道をつくる、というタイトルなのだけれども、扱われていたのは分岐器(上越新幹線長野新幹線の大宮駅から少し先の分岐部分と、京成スカイライナーでのみ使われている超大型のもの)、メトロ有楽町線副都心線の平面交差を解消するための新トンネル(もともと緻密なスケジュールで交互に使うようにダイヤが組まれているので一度遅れるとその位置で渋滞が発生してしまう)。
車両の窓ガラスに、それと車両の上に乗っているパンタグラフについての話で、どうも著者さんがわざとそうしたようなのですが、それぞれの章はあまりそれ以外のものに話が広がらず、周辺技術を含めて説明していく、という体裁ではありません。
どっちかというと「最大のレール分岐器」がどれだけ珍しいものなのかとか、フランスにはもっと大きいものがあったりもするんだよね、というあくまでも分岐器の内部で話が進みまして、窓ガラスの章だとあれですね、新幹線の場合、原因は不明ながら線路にある石(バラスト)が巻き上げられて窓を破損することもある、どうも新幹線のみの特殊事情のようだ、とあくまでも窓ガラス側から語られてるんですよね。

 

これ、マニアの人にはちょっと違和感があったようですが、要するにそれぞれのメーカーさんの視点なんだよね、多分。なので東京メトロが行っている新規トンネルの章は、比較的見慣れた内容になっていたというか、どうして周囲に向けて工事の意義を示していかなくてはならないのか、というところまで含めて扱っていました。
工事する地域と恩恵を受ける地域(広域なんですが)が違う場合には、やっぱり説明きちんとしなくてはね、というのは誠実な姿勢なんじゃないかな、と思います。
パンタグラフとビューゲルとトロリーポールの解説が個人的にありがたかったですw