「予告殺人」クリスティー文庫38/ミス・マープル4、アガサ・クリスティ

予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

正直冒頭からしばらく付いていた傍点がなんだったのかわからないんですが、あれなんだろう、英語の原文に付いているものなのかなぁ? 前に老婦人が書いたくどくどしい手紙に傍点や繰り返し、二重線があれやこれやと付いているというネタは見たことあるんですが。
個人的には殺人予告で驚く何人もの繰り返しのシーンいらなかったです。
あの人数はとてもじゃないけど覚えられないというか、あの冒頭に重要人物いないし!
(辺り前なんですよね「殺人予告」をゲームだと考えるだけの人は要するに赤の他人だ。)
なんだろうなぁ、この構成、戯曲かなんかにする予定で書き直したんだろうか。
ああ、冒頭から殺人予告が本物なのかもしれない、と考えるようになるまでの村のシーンは映像で見たら普通に面白かったかもしれないなぁ。

 

「殺人予告」が出ていた家の家主はそれに心当たりがないと言い出し、とはいえ、家に同居していた年下の従兄妹たちのどちらかの他愛ない悪戯だろうね、と納得。
やはりゲームが始まることを期待した村人たちが家に詰め掛け、乱入する強盗、消える電灯と、響き渡る銃の音。ただし明かりが戻った時点で強盗は本当に死体になっており、わりとすぐに近くのホテルマン、ケチな横領犯だと判明し。
家主をどさくさに紛れて殺すための仕掛けだったのではないか、と目されるようになったものの、またそこに彼女に与えられるはずの富豪の財産だとか、その財産を受け取るはずの「ヒップとエンマ」だとか、わりと全体的にわかりにくい戯曲めいた世界が展開し。
どうも人物が掴みにくいし、感情移入もしにくい、なにか違和感のある言動を繰り返す家主の昔の友人が死んでしまい、ますます事態がわかりにくく…、と思っていたらラストまでの展開で納得。ああ、情報を与える側の人物が隠し事してたら混乱するわな、お見事。