「東京の都市計画」越沢明

東京の都市計画 (岩波新書)

東京の都市計画 (岩波新書)

 

 

ちょっと期待していたところと微妙に範囲が違ったんですが、まあ言うほど離れてるわけでもないんだよね、まず東京では大正の中頃から市街地が急速に膨張して、そのための整備計画を作ったのが定期的に名前が取り上げられる後藤新平氏。
この人がなんでこうも繰り返し言及されるかというと、空前絶後に他におらんからでしょうね、東京には都市計画なんてものはない、というのが定説だそうです。
実際には計画は存在したんだよ! という趣旨のご本に対してなんなんですが、計画がないとされてくるのも納得の実現度合いです。一番面白いというか、一番劇的だったのが戦後復興事業だと思うんですが、渋谷区で10分の1ほど完成し、高円寺駅前に広場出来たよ! というあれでしょうか、実現度合いでしょうか、もちろん東京全体の計画です。
関東大震災の時は延焼地が対象だったから西側はそんなに対象にならなかったんだけどね、駅前の計画は他の計画で一部実現もされたようです)(対象路線は総武線や中央線、京浜東北線や山手線などで、これは別のところでも読んだことありますね。)

 

戦時中には防空地という名目で都市計画をしようとしたものの、結局戦後に取り上げられたのでだからそんな名目にしなければ、と担当者の人が言っておられたようですが、前後の時代を見ていてすごく感じるのが都市計画に対する「アレルギー」とでも言うような数々の反応なので、そもそも土地の取得が出来なかった可能性が高いような気もします。
田園都市計画というのは、どうにも今まで違和感あって仕方なかったんですがもともと中流階級向けのコンセプトで作られて、何故か高所得者層が入る(他に選択肢がない)という展開を読んで納得、うん、外から家がよく見える住宅街って普通建売って呼ぶよね…。
緑地のその後の侵食っぷりも酷いし、まあ遺産の食い潰しって言われても仕方ないか。