「日本の神々」松前健

日本の神々 (中公新書 (372))

日本の神々 (中公新書 (372))

 

 

時々アマテラス神のことを「もとは男だった」ということを言ってる人を見掛けることがあるんですが(太陽神は男のパターンが多いってのは確かにそうだよね、大地母神に近いのはイザナミのほうだろうしなぁ)、その論拠ってこの辺なのかなぁ、大雑把に「アマテル神」という本来アマテラスとは別の太陽神がいて、それと同一扱いになったんじゃないかな、というほうは概ね納得。どうもアマテラスの行動が神というよりは神のお仕えっぽいってのもわかる、ただ、この神ももとは男だった、というのはちょっとうーん…論拠少なすぎる気がする、武装などの男性のリーダー役みたいなことしてる形跡がってだけだと、なんというか、それまでの冷静さはどこやったの、とは思わないでもなかったかなぁ正直。

スサノオはどうも外来から来たのではないか、もともとスサノオという「外来の神」の信仰があって、その故郷として大和神話と合体させてしまったのではないか、というのも面白かったです。そうそう、ツクヨミと役目が入れ替わってたり、神話の展開がいささか雑だったりとかスサノオの信仰がある地域が限られていて「とても大和系とは思いにくい」と言われたら納得。朝鮮半島由来という説も結構有力なんだね、へー。

 

そもそも『日本神話』や『古事記』はすでにある神話に他の神話を取り込んでその権威を高めようとしたものだとしても、その取り込まれた神話の時期はそれだけでは古いとも新しいとも言えないし、特定の有力豪族が地元の神を捻じ込んだというよりは、すでにある信仰を利用しようとしたというほうが自然だってのもわかりますね。
個人的には特に理論的な部分や構造を説明するところで納得出来る内容も多かったんですがもうちょっと断言口調が少なかったら心穏やかかな、とは思いましたw
日本神話に詳しくても神話全般を知らないと難易度は高めかも、読んで損はないかな。