「江戸庶民の信仰と行楽」同成社江戸時代史叢書13、池上真由美

どちらかというと江戸の信仰というよりは「行楽」のほうにスポットが当たった本で、東京の西側の人だとかなり楽しいんじゃないでしょうか。箱根が温泉宿だとか、鎌倉(相模国)と金沢(当時は武蔵国で別の国だったそうですが)がセットで観光地として扱われていたんだとか、近場だと大山講というのがとても人気があって、この大山が男神だったらしいので女神とされる富士詣でや江ノ島詣でなどと組み合わせて廻ったり。
伊勢詣でなんてのはもうよく話を聞きますよね、昔は旅行が必ずしも自由には行えなかったので、信仰のためという言い訳が必要だったとか、周囲から選ばれてカンパを集めて、集団で行動してたり、行きは東海道、帰りは中仙道と経路を変え。一生一度のことだからとさんざん寄り道などもしてきたりもしたのだとか。
近場の観光地ではお寺が資金確保のために「ご開帳」などを行って寄付金を集めていたんだよー、とか、正直信仰のいささか邪な部分が多かったようなw
経路が変わってしまうと廃れる宿場が出たり、飯盛り女とか飯炊き女と呼ばれる黙認の女郎を置いて盛り返しを図ったり、そもそも東海道の宿場は周囲の村で維持しなければならなかったので使われることが多いと費用が嵩み、一般の宿泊客を確保してなんとか採算を取らなくてはならなかったとのことで、結構周囲でぎすぎすしてますね。
ちょっと遠いとその中間地点に安宿が出来てすったもんだに揉めてたり。

 

などなどの事情が全て地名が明記されていて、不思議なほど変わってないので、大雑把に小田急線の人とか神奈川の人これ面白いんじゃないかなぁw
普段からのお参りなんかの話はなかったかと思います、ああ、川崎大師に関しては結構載ってたな、あそこ地味に近代の初期にも重要視されてるし、ちょっと気になるな。