「秘蔵鉄道写真に見る戦後史(下 昭和30年代」原口隆行・解説

多分私、「国鉄総裁」(いや鉄道局とか鉄道省時代はぽちぽち覚えてますが)に当たる人で記憶してる人ってこの巻に出てきた十河信二氏だけなのではないかと思うんですが、なんでかっていうと特になにをした人って記憶の仕方じゃないんだよね。
ただ、結構あちこちで何度も聞いてるからというか、この本を読み終わったあとに年表に目を通して感じたのはいわゆる戦後が昭和20年代でこの本の最後で昭和39年に東海道新幹線が開業して、すぐあとに東京オリンピックで、という時代を見ると戦争の爪あとは徐々に消えつつあって、でもまだまだ制約はキツく、このあとに高度経済成長期が来るんだよね、その時代にたった一人の人が国鉄総裁としてあって、東海道新幹線の建設費が予定よりも掛かったからという理由で辞任して、それに技術者は不服を示したなんてことが軽くですが触れられていたんですが。
時代は特急を少しずつ試行錯誤し、旅行は慎ましいながら増え、戦前の修学旅行は復活し、みたいな上り調子って言えるのかなぁ、新幹線へのカウントダウンを迎えつつ。
ただ、なんだろう、浮ついてないんだよね、そもそも昭和20年代に国鉄になったばっかりなんですが、少し検索してみるとその国鉄前後のごたごたの中で人が決まらなかった中で出てきた人にしてはすごく任期が長いし、辞任もなんとなく曖昧な理由になってる。
この十河さんがなにをした、ということが語られていたわけではなかったんですが、やっぱり、なんだろう、この時代を象徴する人物だったのかなぁ、となんとなく。

昭和20年の終戦からすぐの時代の上巻を読んで下巻をしばらく放置してしまってたんですが、そうか、ここで東海道新幹線が開業して完全に次の時代になるんですね。
今まで読んだどの本より、写真と解説だけの本でそれを感じたのってのが不思議だな。