「信長と消えた家臣たち-失脚・粛清・謀反」谷口克広

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

 

 

確か私が織田信長に関してきちんと1冊の本で読んだのは初めてじゃないかな? もともとこの著者さんが書いているという『信長の親衛隊』『信長軍の司令官』などのほうが私の目的には合っていたかなぁ、と思わないでもなかったんですが、どの道、人名が多すぎるというか時間軸が全く頭に入ってなかったのでまあこれはこれでいいか。
(ざっくりと概略を知りたい、という程度の目的なんですが、あと人となりみたいなものも知りたいんだよね、少なくとも目的に対しての著者さんは間違ってなかったと思う。)

細かい時代情勢や、人間関係や権力構造などはわからないものの、そもそも最初の父親が亡くなってのかなり早い段階での跡継ぎの段階から暗雲が立ち込めていて、そこから数年で起こった出来事に関してはうーん、少なくとも信長公が悪い、というのもなんだかなぁ、ただ、相手方が悪いというわけでもなく、要するに完全な弱肉強食の世界なんだろうね。
全く情がないわけではなく、むしろ情に厚いようなところも見せるものの、どう客観的に見ても行き過ぎの粛清や、猜疑心か乱心としか言い様がない出来事もあるようですし、「信用出来なかった」と言われてしまうとそれもごもっとも。
この本では締め括りとして本能寺の変明智光秀のことを触れているのですが、それこそ江戸時代から現代までに至る説をざらざらと並べたあと、実は光秀が非常に老齢だったこと、そのわりに跡継ぎがまだ13歳だったことに触れていて、ああまあ、なんだ、どうなるか全くわからないという気持ちだけはわからないでもないね。
そしてそもそも、信長の重臣なのになんで裏切ったんだよ、といことも、明らか裏切ってないのになぜかいきなり粛清されたんだよ、という例も少なくなく。たまたま成功しただけでよくあったことだよね、となるらしい。いい本だし読後感も悪くないけどなんだかなぁww