「ドラマチック鉄道史」KOUTUライブラリ001、原口隆行

どうも交通新聞社の新レーベルみたいなんですが、正直なところ交通新聞社新書との棲み分けが今の時点でわからないんですが、気にしなくていいんだろうか。まああれですね、ざっくり国鉄史みたいな感じです、鉄道が発祥して私鉄国有化ー、の鉄道省発足ー、の戦争ー、の占領ー、の国鉄発足前に国鉄総裁が死んだり、事故が頻発したり。
新幹線を作ったんだけども、もうその時点では累積赤字が始まっていて、整備新幹線の計画によってころころと崖を転がるみたいに借金だるまとなり。
民営化されてJRになって借金を返済し、ただし全国で廃線は続き、新幹線は相変わらず政治から逃れられず(政治家の思い通りにされるという意味ではなく)、第3セクターは多少の盛り上がりを見せるところはないでもないものの苦しい、みたいな感じのわりと普通の「鉄道史」ですね、まあ鉄道初期から現代までを扱う時にこの流れになること自体は仕方ない気もするんですが、ただ正直2014年2月刊行だったらもうちょっと頑張れた部分はあっただろうと言いたい気はしますかも。

個人的に面白かったのが列車愛称に対しての拘りと、ほんのちょっとですが「特急・燕」の誕生に関わった人物が満鉄に行ったよ、というところが語られていた辺りでしょうか、というより、戦前くらいまでのほうが面白いんですよね。
本当に最初期の今の日本の国力では鉄道に回す予算はない、というのを頑張ったのが井上馨大隈重信だったよ、というコラムを読んだ時点ではちょっと期待してたんですが(井上馨氏って鉄道史だと馴染みが薄いんですが井上勝氏の同郷の、という説明されてるとわかりやすいよね)、東海道線の頃のごたごたはちょっと略され気味だったなぁ。
最初の私鉄国有化の時点で三菱が反対してたとか、細かいネタは面白かったけどね。