「作物と土をつなぐ共生微生物-菌根の生態学」自然と科学技術シリーズ、小川真

この本の中で語られていたのは「VA菌根」というものだったんですが、ものすごく大雑把にキノコと共生してる樹木や、水生植物や畑作の植物以外のほとんど全ての植物の中に含まれていて、少なくとも生育を助けていること、見られなくなると様々な障害が出る、というところまでは断言して良さそうなものの。
実は単独で分離することが精一杯で、植物と切り離して生育することが出来るわけではないので研究自体がまだ途上なのだとか。
んで、前に読んだ同著者さんの本でも化学肥料の多い畑にVA菌根がいない(までは事実)ってことを言及していたので、栄養素が多い時にいなくなってしまう、水生植物と同じ条件かな? と思ってたんですが対照実験をしていったところ、どうも化学肥料が問題ではなく、農薬や除草剤などが原因で死滅してしまうらしく、ああ、本当に研究段階なんだね。
このVA菌根がいない土地だと連作障害や病害による大量死滅が起こるもので、この研究そのものも現代農法の救世主と目されるのも当然なんですが、当面のところはどうもVA菌根が好みやすい環境を整えてやるという以上のことは出来ないのだとか。

というか途中から炭がいいから焼畑農法は有効ではあるけれど、森林を焼き払うのではなく余剰の植物を焼くべきだ、とか生ゴミ堆肥だと雑菌が入りやすいから、あるいは乾かす(伝統農法ですね)のがなにかヒントになるのではないかとか、伝統農法の本をめくり出していたりとか、正直結構話の筋みたいなものがふらふら移動していたような気も。
ただまあ、その分というか、読みにくいということはないというか、実際伝統農法の中にこのVS菌根との付き合い方に関してはいろいろヒントはあるんだろうなって気はしますね。現代農法もまあ、歴史浅いから、仕方がないっちゃあないってことなのかなぁ。