「戦国時代の足利将軍」歴史文化ライブラリー323、山田康弘

応仁の乱の関係の本がどうにも進まなくて(どうも読みにくいんだよね、全般的に)、正直なんとなく関係してるかな、と手に取ったもののだいぶ良い本だったと思うんですが、うーん、国連の例えまではわからないでもないんだけども、国連がその後ろ盾となるべき軍事力などを有していないってのはそんなに知られてるとも思えないし。
足利将軍家がそのような裁判機能を有した存在となることで、諸国に散らばる有力者同士の調停役をし、その見返りとしてその中の幾つかの勢力に接近したり、時には複数との関係を結んで身の安全を図る、という程度のことなら別に例え話しなくてもわからないでもないと思うんだよね、ていうか正直例え話のほうがややこしくなるとなんも意味ないと思うんだよなぁ。

多分具体的で一番わかりやすかったのが足利義昭織田信長の関係で、最近時々触れられていることがある「既存権力への批判者ではなかった」というのが多分この辺の文脈なんじゃないかなぁ。要するにそれ以前の足利将軍のパトロンと行動は変わらなかった。
もともと将軍に対しての敬意があるわけではないので、一応の面子は立つようにはしてくれるものの、実際に命令が出来るわけではないらしいんだよね。
あとわりと重要だったのが征夷大将軍の地位は特に足利家には必要不可欠ではなかったものの、地位がなくても命令が可能ということになると足利家以外の参入を許してしまうのではないか、ということで拘ることにはしたものの。
それって要するに天皇権力の温存をしたということになるよね、と著者さんが言ってましたが、確かにそうなるわな。天皇を完全に掌握してたならともかく、そうでないと微妙なことになるよなぁそれもそれで、結構この辺の話も面白いもんだよね。