「福澤諭吉と大隈重信-洋学書生の幕末維新」日本史リブレット人076、池田勇太

 

もともと私、この本を手に取ったのは大隈重信が目当てだったんですが、なぜかというと「三菱との関係が深い」と言われてたからで、ただ、私が認識していた時期よりもだいぶその関係があとだったらしく、なかなか情報に行き当たらず、仕方ない、伝記の1冊も読んでおくか、というニュアンスでして。
ものすごく簡単に言うと外しました、福沢諭吉さんもだけど世に出たところまでか!

まあ、三菱との関係っていうと実は福沢諭吉慶應義塾の間にも薄っすらとあったらしいんですけどね(あとアメリカのイースタン・カレッジという学校への推薦を行ってたみたいで財界とはもともとつながってたみたい)(商人教育って人が限られてたのね)。
どの道、この本ではそこは出て来ず、まあ、冒頭の辺りで明治は扱わないよー、と断ってらしたので薄っすらわかっていないでもなかったんですが。
福沢諭吉の『学問のすゝめ』はさすがに知っていたんですが『西洋事情』という本の存在はここで初めて知りまして、かなり刺激的な風俗本、庶民にとって初めての西洋の情報、ということを聞いてしまうとそのあとに語られていた、あるいは国内の開国へのインパクトになったんじゃないのか、というのもあながちありえないことでもなさそうだなぁ。
(今の人間にとっては『西洋事情』ってそれ自体は面白くもなんともないんだろうね、でも当時はそれが最先端だったって人もきっと少なくないんだよなぁ。)
福沢さんは中津藩で、正直あまり田舎で閉じられた世界という以外に環境の影響がなさそうなんですが、大隈さんは保守的な佐賀藩の中であまり大人しい人でもなかったにも関わらず、学友と良からぬ話をしていても脱藩しても許されていて、役人の試験に受かった段階でお殿様が喜んでいたので、こっちはあんまり悪い藩主ではなさそう、いい人w