「日本刀の教科書」渡邉妙子/住麻紀

えーと、日本刀の本の12冊めで一番最初に読んだのと同じ人ですね、なんと言ったらいいんだろう、刀工寄りの美術品系ですかね。武将と刀の話ってこの人とあと一系統くらいいる感じかなぁ、微妙に触れてるところが違うのでわりと気になる。
前からちまちまと感じてたんですが、圧倒的な生産量を誇り、「本場」とされている備前に関してをメインにした本を今まで読んだことがないというか、どっちかというと山城系が語られていることが多いのがどういう機微なのかがいまいちわかってない。
三条、粟田口、来派辺りがここに含まれてるんでまあなんとなくわからないでもないんだけども、そうすると次がだいたい相州伝になるんだよなぁ。まあ、相州伝の祖である新藤五国光が粟田口の影響は少なくともあるんじゃないか、と言われてる時点で妥当なのかもしれないんですが(備前の影響もあるとも言われてるんだけど、この本では出てこなかったな、父親候補みたいなところには備前の一文字とか出てきてたけどね)。
それと、天下五剣の「号・童子切」の安綱を一番古い刀工として、その同時代人に三条宗近を置いて、古備前を漠然とその次の時代、と語っているのは今までにもわりと何度か見てる系統ですが、これと対立する説もあるんだけどお互いがお互いに触れてないんでどんなもんだかわからないんだよなぁ。

とはいえ、私が読んでいたような本の作者がGHQに日本刀の保護を訴えた人物だったりとか、わりと最近のムックに寄稿してた人が著名なエピソードの人物として挙げられていたりとか、業界の狭さにしみじみと感じ入ったのでなんだ、仕方ないよな?!
巻末での対談見てて思ったんですが、科学鑑定やってんのかなぁ、科学鑑定は科学鑑定で独立した本があってやっぱり他の説には言及しない可能性…ありそうだな。