「木材の秘密-リグニンの不思議な世界」榊原彰

リグニンというのはセルロース、セミセルロースに続いて3番目に植物に含有されているという(主に樹木などの大きな構造になる植物に限られてるんだけどね)物質で、正直サブタイトルにはなっているものの、特にリグニンの本でもないんですよね。
どちらかというと木材全般の本で、木材利用の観点だとこのリグニンだけは邪魔物というか、なにかに利用出来ないものかねぇ、と著者さんも呟いておられたので案外馬鹿な子ほど可愛いという観点でサブタイトルになっているのかな、と考えてしまったんですがw

で、そもそもリグニンは毒で、それを無害化して自分の構造を支えるための必要不可欠な物質にしてしまったり、生命活動とは無関係の部分に蓄えこんだり、となかなか逞しい。それとどうも褐色腐朽菌では(大抵の樹木に存在している)リグニンだけが分解出来ずに毒素としてその地に残ってしまうとか(ただしその間に子孫となる樹木だけがその地に根付く)、キノコなどを作る白色腐朽菌だと逆にセルロースだけが残るのだとか、その木に直接生える原木系のキノコはシイタケなどの食べられるものが例外で、だいたいはサルノコシカケのような硬い構造体になるのだとか。
でもあれですよね、白色腐朽菌のいる土地で松茸とかも生えるんだよね。
ピアノに向いた木材や、日本の建築物の中で千年持つヒノキの話や、それは珍しいものの5百年くらいならざらっていうケヤキなどの抗菌性作用や、一旦劣化するもののまた硬くなっていくのだという木材の性質など、ヒノキのまな板が長持ちするっての、ちょっと信じてなかったんですが含有成分のせいだったんですか、なるほどなるほど。
古木で作られた銘柄ヴァイオリンより、案外日本で作った新品のが音が良かったとかw
キノコの観点から見た本とはまた違っていて、なかなか木材の世界も面白かったです。