「時速33キロから始まる日本鉄道史」小島英俊

時速33キロから始まる日本鉄道史 (朝日文庫)

時速33キロから始まる日本鉄道史 (朝日文庫)

 

 

この時速33キロというのはどうも新橋から横浜(今の桜木町駅都営大江戸線汐留駅の位置ですが)が全通した時点での評定速度だったようなのですが、わりと長いことこの速度は全国的に越えなかったようで、ただ、山陽鉄道はいい勝負してたのかな?
「顧客サービス」という概念がかなりあとになるまで登場しない日本なので(戦後かなりの時期まで乗客すら乗り心地って言われると意味がわからないんですよねw)、正直ほとんどのサービスを先行した山陽鉄道にわりといいイメージがあったんですが、結構いろいろややこしいところだったみたいだなぁ。中上川彦次郎氏って福沢諭吉の甥なんですね。
ちなみに単に有名人の親族というよりもこの人物を通しての慶応義塾との関係が、みたいなかなりの重要人物ですね。私はどっちかというと三井の大番頭として聞いてたけど。
あと、仙石貢氏も鉄道省甲武鉄道との関係で聞いてたんですが、九州鉄道を率いていたのはこの人だったのか。資本的には三菱の炭鉱などもあって三菱系だったようですが。

まあ、大雑把に車両のみで語られる鉄道史、というのとは大幅に違う、欧米との比較なども時々出てきたり、重要人物などもぽつぽつ語られる内容だったんですが。
この本が鉄道マニアに盛大に警戒しながら予防線張って語ってるのが切ないなぁ…。
確かに、車両にしか興味がないとこの本の半分の内容もわからないとは思いますが、鉄道に興味がない人でもわかるね! と褒められてるのに。でも確かにその警戒は否めない。
新幹線の時代になるといささかの欧州との比較も入るし、航空機との対比も4~5時間がデッドラインなんてのも最近経済誌が参入してやっとこ始まった感じだしな。
そういやアメリカのインターアーバンの鉄道って自動車の発達と共に廃れたのか、あー、前に見てた川崎銀行財閥の鉄道業界からの撤退って聞いたあれか。面白かったです。