「中世のかたち」日本の中世1、石井進/網野善彦・編

2002年の刊行で網野善彦さんの名前は前から日本の中世史の本で時々お名前を見掛けていたんですが(実言うとヨーロッパの中世の本探す時に検索引っ掛けたんですけどもw)、当時はちょっと尖がったテーマだった中世の本もすっかり増えたよなぁ。
それよりも前に芸能に興味を持っていた時に周辺分野として読んでいた時と比べるとずいぶん進展してるなぁ、というのがしみじみと。

この本の中ではアイヌと「和人」の区分というのは本当に当時それほど明確だったのか、ということ、確かにほぼ同格の墓が3基並んでて両端が「和人」で真ん中だけがアイヌってなると当時からかなり混ざっていたんじゃないかって気もするよねw
「和人」としてアイヌ民族を支配していた、とされる蠣崎氏(従来説)がどうもアイヌ系ではないかという反証。ただこれ、読んでいる限りでは、従来説というよりは当人たちがすでに当時からそう主張していたって話だよね多分。
そもそも近くで混在するために対外的に必要な措置だったんじゃないのかなぁ、という気もしないでもない。個人的にはこの蠣崎氏ってのが言われているほど支配地域が広くなさそうっていう時点で、少なくとも対外的に和人の振りをすることが可能な人だったんじゃないかな、とかちょっと考えてしまったんですけどね。
この辺も少しずつ発掘されていくに従って説が変化していくんだろうなぁ、楽しみ。
それと鎌倉時代における鎌倉近郊のとある寺院が従者らからの主人に対しての訴訟を受けていたのではないかと推測されていること、連雀商人と呼ばれる特権的な商人らがなぜか庶民から見下されていたとか、まあいろいろ。
豊臣秀吉の奥さんの弟が連雀商人だったぽい、と言われると確かに驚くww