「岩崎弥太郎と三菱四代」幻冬舎新書、河合敦

岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)

岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)

 

 

まあちょっと正直、説教臭いというか教条的というか、そんなところが気にならないでもなかったんですが、よく見たら新設されてそんなに年数が経ってない幻冬舎新書で、要するにビジネス書寄りだとしたらこの程度で済んでるのはむしろ偉い、ということで不問。
坂本龍馬題材の大河でちょっと印象的な人物だったのですが「物理的に面識があったかどうかはわからんよ」とか、確かに海援隊を通じてしばらくの関係はあるものの、単に金をたかりに来てたり面倒ごとが多かったり、そのうちさっくりと暗殺されてて微妙。
精神的には関係があったかも! という以上のフォローしてないのがむしろ好印象w
(ただ、大河の描き方に文句があるわけではないのです、それはそれこれはこれ。)

で、大雑把に土佐藩関係の体外事業にしばらく関わってのちに独立、鉱山を弟の嫁の父親から押し付けられたり、微妙に頼りない日本郵便の変わりに三菱商船として国の仕事を引き受けましての躍進、のちに共同運輸が立ち上げられて「国が三菱を潰そうとした」ということが盛んに言われてましたが、そこは多分異説もあるかなと思います。
こないだ読んだ『三菱銀行史』でも共同運輸は普通に評価してたし。
そもそも渋沢栄一その他財界人を「国」と表現してしまう時点でかなり微妙ですし、あと、国が三菱を潰しに来てる真っ最中だという前提だとなんだか妙に見える製鉄所の払い下げも、別にそんな事実がないと赤字なんで経営立て直しを願った、という他所で読んだ説明のほうに軍配を上げたいところかなぁ。
とはいえ、弥太郎→弟の16歳違いの弥之助→弥太郎の息子の久弥→弥之助の息子の小弥太、などの流れを通して戦前史として扱い、戦後解体と再生って内容はよろしかったと思います。てか2代目の弥之助の本も出しておられるんですよね、読んでみるか。