「地租改正-近代日本への土地改革」佐々木寛司

正直この手の本がそこまで苦手なわけでもないつもりだったんですが、ひたすら制度の観点から述べられていて現実の状況がフィードバックして来ないのでなかなか頭に入らず、まあ、日本の3大土地改革が大化の改新太閤検地、んでこの明治6年から前後して行われた地租改正って時点でこう、あんまり変化しないんだろうなぁ、と判断するしかないんですが、そもそも日本の税金って近代に入るまで地代だけなんですよね。
そして地租改正のあともしばらく地代のみなのでそれで揉める、みたいな感じ。
要するに徳川幕府から明治政府になったって時点で、なにをどのように分配するかってのがかなり変わる上に、身分制度も変えなきゃならないし、近代化に当たって「土地の所有」という概念をこの時点で導入しようとしたらその時点で農民に拒否られるし。
わりといろいろ瑣末なところで大変だったようです。
そしてこの時点での改革は実は土地ごとに全く様相が違い、全国で小競り合いが起こっていたというらしいので(時々近代の本読んでると出てくるので)、いちいち取り上げるわけにも行かなかったとは思うんですけどねー。
なんというか藩主さまとか村の代官と地元民との関係で変わってくるので本筋と全く違うのでそうそう触れてるわけには行かないってのはわからないでもないんだよな…。

とはいえ、さすがにトップが変わったんで改革しなきゃならないんだよ、というところまでは非難されていなかったんじゃないのかなー、ということを述べられていて、その前後で出ていた「代案」もあくまで修正であり、特定のやり方(例えば前年度の収穫高、これは地域単位で不利有利がかなり出るよね)への反対だったらしいですしね。
しかしまあ、詳細瑣末なところのみで1冊終わってしまったのは否めませんかも。