「三井・三菱の百年-日本資本主義と財閥」柴垣和夫

ところで少し前から「三井と三菱はどっちがマシか」ということが地味に気になっているんですが、この見事な一長一短というか。三井贔屓の人は三菱が気になるし、三菱贔屓の人は三井が気になるし、みたいな。この著者さんはあくまでも日本の資本経済を語る上で三井と三菱に題材を絞ってわかりやすくするための選択だったとのことなのですが(その面においては見事に成功してると思いますグッジョブw)、まあ、三井のやってることのほうがよりちょっと気になる感じかなぁ、乗っ取りとか労働争議とかだもんね。
わりとこの本を読むまで忘れてたんですが、三井はもともとの生業だった呉服商を手放し、それに付随して発展した為替商から発祥しているようなものなので金融機関が強く、三井銀行も私立銀行としてそれこそ非常に強い存在として現れていたんですが、そういや意外と話を聞かないというか、戦後になってからは金融機関が弱い三井って認識されてたのか。
三菱銀行はちょっと別の角度から興味を持って非常に紆余曲折を経て、他の中興財閥らよりもむしろ遅く作られていたのは知っていたんですが、戦後の財閥解体からの再編劇では結構な強い比重で活躍していたらしくて、ちょっと不思議な気が。
三菱は軽いものを扱うのを禁止していたというか、軽いもの扱うのが苦手だったというか、そういう印象で、三井はまあ為替商だし、三井商事を基盤にいろいろ手を伸ばしていたみたいですね。鉱山に関しては両者関わってるけど、両者まあまあ。

三井三菱と戦後には住友、富士銀行、第一銀行、三和といういわゆる6大コンツェルンにも触れ、高度経済成長期(バブル経済と勘違いしてた私の馬鹿ww)のあとの再編期などにも軽く言及されていたんですが、まあ、戦中くらいまでの本かなぁやっぱり。
日本の資本主義がある限り三井と三菱はあると思う、と触れられてますが、まあ同意。