「明治維新とイギリス商人-トマス・グラバーの生涯」杉山伸也

明治維新とイギリス商人―トマス・グラバーの生涯 (岩波新書)

明治維新とイギリス商人―トマス・グラバーの生涯 (岩波新書)

 

 

正直そう特別な「歴史的人物」ではないものの、今まで読んでいた外国の商会や人物たちとは違って、最初の最初から特に日本や、多分アジアの国を特に下に見ておらず(変に同情的ってこともないんだよね、初期に良好な関係にあったというとオリエンタル銀行なんてのもあるんですが、こちらは完全に日本の、特に新政府をひよこ扱いしてたから「優しかった」みたいな存在だったんですが)。
ひょっとしたら最初からイギリス人とはいえ階級があまり高くなかったのではないのかなぁ、そういやなんかあんまり学もなさそうだなぁ、などということを考えてしまったんですが、そういうところに焦点が当たっていたわけでもないので判然とせず。
ジャーディン・マセソンや英国公使パークスなどを通じてわりと精力的に駆けずり回っていたようですが、幕末の薩摩に武器を売る時にも、見よう見真似みたいな態度でアームストロング社に話を持ち込んでいて危なっかしいw
ただ、そのせいなのか逆に死の商人だとか、政情不安に付け込んでの金儲けって感じでもないんですよね、変化の時代に活躍する事情通って歴史の中にたびたび登場すると思うんですが、単にそういう系統の人だったんじゃないのかなぁ。
毛並みのいい人物とは言い難いし、山師の側面もあるけど、下心があるようには見えず、とはいえ武器の販売に手を出しているので評判は芳しからずといったところかなぁ。
でも、当時の日本にこれだけ他意なく接してくれた人物がいたって時点で、その意味や価値を認めてもいいんじゃなかろうか、歴史人物としてまで扱わなくてもいいと思うけどね。

高島炭鉱の価値を認め、その改良に資金を注ぎ込み、まあ破産するわけですが、それはもともと短期じゃ無理だよ、周囲もわかってやれよ、みたいな。まあ不幸ではなさそう。