「霧笛の長崎居留地-ウォーカー兄弟と海運日本の黎明」ブライアン・バークガフニ

霧笛の長崎居留地―ウォーカー兄弟と海運日本の黎明 (長崎新聞新書)

霧笛の長崎居留地―ウォーカー兄弟と海運日本の黎明 (長崎新聞新書)

 

 

サブタイトルのように、日本の海運の黎明期(ざっくり日本郵船の船員ですが)に船員として日本にやってきたウォーカー兄弟と、そのそれぞれの家族の戦後くらいまでが語られた本だったんですが。
ウォーカー2世以外の家族は日本の閉鎖的傾向、軍事活動によって日本を離れ。
唯一日本に残ったウォーカー2世はそのせいか他の家族から縁を切られ、日本の貿易と長崎のために尽力した日本人の戦後の自殺まで見取っているんですよね。
日本から去った他の家族たちも、日本の血が混ざっていたこともあって、過去に口を拭っていたものの、周囲には知られていたとか、まあ、どっちの国が良いとか悪いとか言い出しても仕方ないこともありますし、正直どっちもどっちだよなぁ、ここは。

ウォーカー2世は同じく日英の混血児である伴侶を得て、三菱の関係者、長崎という特別な土地にあったとはいえ、それでもスパイの疑いは掛けられて探りを入れられていたようですしね。
初期の頃の日本はそれこそ船員になれるだけの技術のある日本人もおらず、その教育もおいおい、みたいなところから始め、このウォーカー兄弟は英国から日本船に乗り込んで日本にやってきて、日本に根付いた商人らとも関わっていたようです。三菱関係の秘書や顧問などの地位にも付いていたことがあったとか。
話に出てきた同じく英国人であるトマス・グラバーも確か炭鉱の開発に失敗したあと、三菱に身を寄せていたってこないだ読んだっけ。
長崎が明るい希望に満ちていたこともあったんだけどね、という視点から語られている本だったんですが。まあ、惜しいことしたよなぁ、いろいろ。