「明治の憲法」岩波ブックレット 日本近代史3、江村栄一

明治の憲法 (岩波ブックレット―シリーズ「日本近代史」)

明治の憲法 (岩波ブックレット―シリーズ「日本近代史」)

 

 

まあとりあえず、明治政府が特に憲法も議会も作りたくなかった、というのは地味に知られていることではないかと思うのですが(言い回しはちょっと違うけど、自由民権運動の圧力に耐えかねて10年後の議会を約束したって言われてるよね)(民権運動家たちが自分たちの行動が議会開催の原動力になったと思い込んでるってか、違うのこれ?)。
意外と明治憲法が人権を擁護する意味で真っ当だったことと、でも統帥権という天皇を中心にした、なんとなく先の流れとは異質なものがくっ付いたものだったという事情は、どうも欧米各国への不平等条約撤廃へのアピールのようなものだったようなんですが。
高額納税者の男子にしか選挙権を認めないという内容だったにも関わらず、第一回目の選挙にていきなりの民権派に過半数を持っていかれ。
焦ったあまりか明治天皇の後ろ盾の上で「選挙大干渉」という暴力による選挙介入が行われたもののそれでも過半数は取り戻せなかったようです。
ていうか、10年間置いたせいなんじゃないのか、本当になんでだったんだろうねww
前に同じシリーズの『鹿鳴館』読んだ時もそうでしたが、明治天皇って若干微妙な感じの、ううん、大正天皇の印象がなくて昭和天皇が本当に善意の方だったんでなんとなくそのままのイメージだったんですが、ちょっと脳内修正しておいたほうがいいかも。

今まで美濃部達吉(戦後には東京都知事もやってる方よね)の「天皇機関説」ってのの意味がよくわからなかったんですが、上の流れの一環と考えるとそんなにわからないこともないですね、せっかく順調に進んでるのに阻害要因があるから憲法はそのままで象徴天皇でいて貰おうとしたのか、イギリスはこれに近いみたいなスタイルだったしね。
あくまで薄いブックレットなので、まあ知ってることが多いんですが、なかなかでした。