「古城の風景(7 桶狭間合戦の城」宮城谷昌光

桶狭間の戦いというのはあれですね、今川義元織田信長の戦いが最近たまに「なんで織田方が勝ったんだかよくわからない」と言われているものなんですが(昔はそれほどでもなかった)、うん、織田方がどうも途中まで今川軍の動きが把握出来てなくて策がなかったらしいこと、奇襲も行っていた形跡がないこと。
国力の差や、かつて推測されていたような今川方の極端な落ち度もなく。
調べた方がなんで勝ったん? と言う口調も特に声高でもない辺りw
(共感得にくい説だと結構ここで声高になるけど、これは本音が出た感じだよなぁ。)

そもそもどちらかというと素人的にはここから戦国時代の本番だよね、という戦がこの桶狭間なんじゃないかなー、と思ってしまうんですが、これがシリーズの最終巻。
連載は続いていたらしいものの著者さんが一区切りとしてしまったらしく、正直出版社の意向ではないよね、こんな独特の区切りは作家さんの意思じゃないかなぁ。
まあでも、小田原北条氏武田氏、今川氏、三河松平氏、織田家に関してがわりとざくっと触れられていたのでこれ以降の時代を読むのにも参考になるかなぁ、今まで見てきた「歴史語り」だとここから始まるものも多いわけだし。
正直織田信長がなんでここで名前を上げたのか、というのも、前提を共有していない身にとっては伝えられたところでとにかくすごいったらすごいんだよ、という連呼にしか聞こえてなかったからなぁ、申し訳ないけど。わりと奇跡でした、ごめん。
織田はともかく、案外このシリーズで一番面白かったのって三河松平氏かなぁ、なんというか徳川家康がその後三河と離れがちになったのもわかる、まあ彼の親族そのものが悪いわけではないんだよね。ただ思い出したくはないよね、うん…。