「中世文化の美と力」日本の中世7、五味文彦/佐野みどり/松岡心平

この本の中で面白かったのが平安後期の頃に文化人であり政治家でもある(まあ当時のサロン文化だとどっちでも同じなんですが)非常に長命な人物が幾人か出て、結局長生きして家の趨勢を見守るのが一番の功績だ、という意識が広まった頃、「翁」のモチーフが人外の定番として新しく生まれ、なんでもそれ以前の定番モチーフである「貴女」と入れ替わった説話があるんだよ、と語られていたんですが。
あー、ひょっとして能の翁なんかの意味ってのもこの辺から来てるのかなぁ。
その時代においては意味は共有していたように思うんですが、その次の鎌倉時代になるともう完全に人外モチーフとして定着した、ということはルーツは忘れられたんだなw
あるいは「貴女」にもそういうきっかけがあったのかもしれないよなぁ。
これ、友人にはいまいちニュアンスが通じてなかったんですが、なんというのかな、人の行いの善悪に介入するみたいな高次の存在みたいなものです。ふっと現れて気付いたらいない、善人には善の報いを、悪人には悪の報いを。
大雑把に神って扱われてるような気もするんだけども、あれ仏教説話の一種じゃないのかなぁ、神道にあんまり因果応報って概念ないよね。

中世と言われると南北朝の構造が正直エピソード単位という程度の認識でよくわかっていないし、北山文化を室町初期のみで捉えていたような体たらくなんですが(鎌倉・室町前期かい)、まあそれでも大まかな文化の流れくらいはある程度は掴めていたかなぁ、要するに東山文化に至るまでの庶民の参加までへの流れなんだよね。
しかし私、文化面における鎌倉時代をいまいちきちんと掴めてない気がします、宗教系の流れとして捉えればいいのか、しかし寺院はともかく、神社ってなにしてるんだ?