「東山文化-動乱を生きる美意識」美術選書、吉村貞司

私そもそも東山文化そのものからわからないままこの本を手に取っていたんですが(大雑把に言うと足利3代将軍である義満の時代の観阿弥世阿弥親子もこっちの流れかな、と勘違いを、まあ時代は近いし能楽も東山文化に含まれるみたいなんだけどね)、足利8代将軍である義政時代のことを指すんですね。
要するにあれだ、銀閣寺。ところで3代と8代って聞くとかなり世代がズレているような気がしてならないんですが義満の孫が義政なんですよね…だいぶ間が。

で、あとバサラの代表格である佐々木道誉なんてのもこの東山文化、禅宗の隆盛もこの時代で雪舟なんかもいる(えらい絵が上手いお坊さん、と揶揄されてますが禅宗はそもそも生活の全てが修行だからまあいいのよね)(庶民の教化のための絵なんだって)。
それと侘茶の珠光、立花の池坊専応などもだいたいこの時代。
一休宗純臨済宗の破戒僧、と、現代人も結構わかるものが多いなぁ。
この本の主題はかつて文化サロンのようなものがあってそのパトロンが将軍義政であると言われたことがあったものの、どちらかというと応仁の乱を筆頭にした戦乱の世そのものが芸術として昇華したのではないか、という部分だと思うんですが。
うーん、でもなにも応仁の乱に至らないでも結構な暴力の時代だしなぁ(大型の戦乱になったのが応仁の乱)。さすがに完全に散り散りに逃げ惑っている時にも芸術が発展するような気もしないし、まあでも、言いたいことはわからないでもない。
特にあれ、サロンとして権力者に庇護された芸術はそれ自体は特に輝きを持たないよねぇ、みたいな部分。この時代に今の日本にも残っているようなのちの時代の芸能がたくさん生まれてるのが事実で、足利将軍がパトロンでもなくて、なんでなんだろうね。