「日本銀行を創った男-小説・松方正義」渡辺房男

日本銀行を誰が作ったか、ということを特に意識したことはなかったんですが、松方デフレの方針を考えると「国立銀行153行の紙幣発行を止めて、発券機関を一つに絞る」のは確かに同じ流れなんですよね、納得。
あと、横浜正金銀行はのちにはこの日本銀行と一対の存在になるものの、最初から国が作ったって書かれていたりいなかったりでなんか半々。歴史記述も曖昧だよなぁ。
大まかに書いてある時は最後に決めた偉い人とかの名前に一元化されがちだしね。
(大蔵省長官が偉くないわけではないんですが、下手すると取り替えられるし…。)
個人的にはこの人の本の中で一番面白かったんですが、松方正義大隈重信も評価が視点によってだいぶ違うので、ちょっと微妙な可能性もあるかな。私には松方正義の性格は非常にしっくり来たんですけどね、真面目で開明的だけど古い世代の気持ちを重視するってのが実際の彼の立ち位置だったんじゃないかなぁ、実際。
そういや私、松方氏の先代の大蔵省長官だった大隈重信の失脚理由知らなかったんですが、黒田清隆の払い下げ事件のリークをした、という推測で罰を受けてたのか…。
あ、○○省長官ってのは名前がぽちぽち変わってるので正確ではないです。
すごく正直、リークしたという証拠すらなくて、そんなことをするのは他にいないレベルから始まっていたんですが、明らかに払い下げ価格がやりすぎでおかしい、という結論以外を著者さんも作中の松方さんも出せてなくて…すっきりしねぇええ。

あと、外資導入がどうして駄目なのか、金融専門の著者さんだとちょっと手に余ったのかもしれないんですが(大隈さんも方針見てる限りで外貨導入メインだよね)、出来れば述べておいて欲しかったかなぁ、ちょっとわかりにくくなってたな。