「中世瀬戸内の港町・草戸千軒町遺跡」遺跡を学ぶ040、鈴木康之

中世瀬戸内の港町・草戸千軒町遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)

中世瀬戸内の港町・草戸千軒町遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)

 

 

えーと、この本は現在の広島県福山市、瀬戸内海沿いの古い港町に関しての遺跡で、どうも地元ではそれ自体は語り継がれていたものの、いまいち時期の辻褄が合わなかったためか半ば伝説のような存在だと思われていたよ、ということが語られていたんですが。
15世紀末から16世紀初頭くらいの間に自然に廃れ、1673年の洪水(これはきちんと記録が残ってる)によって沈んでしまったんじゃないかな、とそもそも予想を立てた方がいたようなんですが、それだと要するに洪水に遭うまでに半世紀くらいの間が空いてるって意味ですよね。
もともとここに遺跡があるともはっきりしていなかったので、河川の付け替え工事によって発覚したらしいんですが、正直この、半世紀くらいの空白がちょうどいい埋もれ方だったんじゃないかなぁ、と思ってしまったんですがどうだろうw
そもそも中世の都市の遺跡というものをあんまり話を聞いたことがないのですが、それもわりと無理がない話で、土木技術が乏しい中世に人が住んでるような土地ってそもそも恵まれてるからよほど環境が変わらない限りその後も人が住むだろうし。
重要度があんまり低いところだとまとまっては出てこないし、少ないと分類解析もしにくいですからね…。最初に研究の土台となるべき土地はそこそこの規模じゃないと。

てか、要するにこの土地に最重要の施設があったというよりは比較的平均的な中世の都市が発掘された、ということで大きな意味があったらしく、それこそ文献頼みの日本の中世史の概念を変えようとしていた時期の物証になったのだとか。
まああれですね、網野喜彦氏とかですね、もう一方いたの忘れてすみません、本当かよって言われてる時期に読んだのこの人だから! うん、なによりだw