「鉄道史研究試論-近代化における技術と社会」鉄道史叢書5、原田勝正

鉄道黎明期の本というとだいたい幕末の小型の鉄道模型(走るやつ、てか持ち込んだのグラバー商会だったのか)の話だけで続いて明治の新橋~横浜の鉄道開業の計画くらいから語られていることが多いんですが、明治以前にもフランスは幕府と鉄道計画を、アメリカが独自の建設許可を求めていて、イギリスは英国公使パークスがわりと熱心に日本独自の鉄道建設を、ということを勧めていたよ、とか初めて読んだなぁ。
パークス氏ってわりと評価低いこともあるんですが、多分モレルさんを紹介してくれたからって理由で好意的なんだろうなこれ。
で、結局明治政府になってからは主にイギリス系の人材によって鉄道建設開始。
工部省も平行して作られまして、こちらからの人材によって徐々にお雇い外国人が置き換えられていったようです。てかモレルさん「ごめんね、失礼なことしてるけどこの国の習慣知らないんだ」的なこと言ってたんだ、いい人だなぁつくづくww

東西幹線のルート選定に関してはやっぱり技術系(てか多分、この時代だと工部省系)の資料にもないのか、この本では軍部の意向だったんじゃないのかなぁ、と言われてますが、しかしその後の中山道ルートから東海道ルートになった時の資料もないの?!
ありゃ、単に自分の見てる範囲でないだけと思ってたけど、公的な資料になさそうね…。
基本的には日本の鉄道技術の独立という観点で語られていたようなんですが、あくまでも他の産業との連動による部分も少なくないので鉄道資料からだとちょっと消化不良。
ただ、運営の観点の資料では曖昧だったことがだいぶ明確に示されてたのは収穫。
あとは概ね首都近郊の駅の改良に関してかなぁ、これももうちょっと他の歴史と連動した内容で読みたかった気もしますが、ああ、電化の阻止は軍部の意向だよね。うん。