「15歳の機関助士-戦火をくぐり抜けた汽車と少年」交通新聞社新書051、川端新二

 

私はどちらかというと歴史マニア寄りの人間なので、この本の中で「国鉄」とずっと呼ばれていたのが気になってしょうがないですし(戦後に国鉄になったよー、実際本なんかでは鉄道省省線と記述されてることが多いです)(ただ本の中でも「省電」っていう当時はまだ少なかった電化区間に対しての呼び方はしてたんだけどね)、明治の終わり頃に国家買収された関西鉄道の話なんてのは本当に記録に残しておいて欲しかったですし。
正直、蒸気機関車に関してはほとんど知らないんですけどねー、前にたまたまB6の本だけは読んでいたんですが、そっか、この頃には国鉄ではほとんど入れ替え用にしか使われてなかったのか。アメリカのB6は全て廃車になってしまっていて馬鹿にされていたものの、その当時からいる古老がもっと技術を進展させる予定で最初から耐久性に拘った造りにしてないんだ、と語っていたのには納得。
そもそもアメリカは日露戦争の頃に200台作ってあっさりと運んで来た時点で驚愕していたらしく、全体的にアメリカへの評価高かったなぁ、ちょっと印象的。
この当時に残っていたのはイギリス製とドイツ製なんですが、あー、アメリカは昭和初期には都市間鉄道に見切りを付けて自動車にシフトしてなかったっけか…早すぎるな。

教育制度や機関士見習い、機関助士としての体験もたまに理不尽な側面もあったようなんですが、この著者さんが、そもそも年下に追い抜かれる組織構造になっているので捻くれる気持ちはわからないでもないなぁ、という目で見ているので冷静な内容になってましたし、学歴などはないものの、鉄道マニアであることが良い方向に出ていて試験に受かるのでどんどん環境が変わり、いろんな立場を経験してますね。
戦中の爆撃や銃撃、戦後の品不足のエピソードが思ったよりえぐかったなぁ。