「鉄の考古学」考古学選書9、窪田蔵郎

昭和48年刊行、いつもは西暦も併記していたんですが、さすがにこの頃になると意味が薄いので略、と思ったけど単純にどのくらい古いのかがわかりやすいので書いておくと1973年になります、えーと、40年くらい前ですかね大雑把に。
で、同じ方が2014年にも本を出しているのでそれも読む予定。
すごーく大雑把に言うと鉄の歴史は文献、考古学、科学という三つの文脈とアプローチ方法がありまして、これが違うとなにか不思議なほど先行研究に関しての知識がなかったりして躊躇うことがあるのですが、いわゆる学会があればこういうことは少ないんだろうなぁと思うしかないですね、学会の弊害みたいなのもわりと身近なんだけどね。
が、この方は法学部出身の日本鋼鉄連盟に所属していらして、その上で考古学を扱うので三つの分野に跨っていて、良いな、と思ったんですが、うん、全部ばらばらに一冊の本にまとめられていたようなそんな感じの体裁でした。
本当に複数の論文の合冊のほうがまとめてくれるほうが他の論文に対しての言及とかあるんじゃないかなぁ、と思わずにいられませんでしたが、2014年に期待!
あれですね、別になにか瑕疵があるわけでもないんですが、単語や概念も一つずつのジャンルごとでばらばらなんでなにか不思議なものを読んだ気持ちが否めない。

中で独特で面白かったのが中国の鉄関係事情みたいな部分でしょうか、『管子』の頃に量が少なくとも農民の末端まで一応鉄の農耕具が行き渡っていたようでしかも民間主体、んーと、だいたい紀元前千年の頃の書でまあ当人のものではなくてもこんな庶民の話で嘘を付いても仕方ないので、日本への鉄技術の伝来差は…下手すると二千年くらい?
酸化鉄が江戸の頃には薬扱いになっていたとか、日本の鉄技術なんか謎い。