「持丸長者-日本を動かした怪物たち(幕末・維新篇」広瀬隆

前にこの著者さんの『赤い盾』(ロートシルト、要するにユダヤ系のロスチャイルド家)の本を読んだことがあるのですが、調べたことはわりとちゃんとしてるんですよ、ただ、閨閥をメインにしてるわりには閨閥の扱い方がめっちゃ雑なんだよね(関係があるのは事実なんだけど時間が前後するというか親戚と婚族が一緒くたっていうか、一回関係があると書くとそれで思考が固定しちゃうというか)…あと多分悪気がないんじゃないかと思うんですが、時々感情的になると偏るというか、善玉と悪玉って書き方以外出来ないみたいでね。
ただ、読みづらいし信用はしてないんだけど、そんなに嫌いでもないんですよ。
この本の続きを読むかどうかはちょっと迷ってますが正直w

まあ後半のことは上記理由で置いておくんですが(時々ある小野組取り潰しの「三井黒幕説」とか勝海舟の批判とかこの辺が源泉かもなぁ、この方の著作って正直参考文献にするわけにはいかないんだけど、密かにに読んでる人は多そうw)、前半に語られていた産業の基盤がすでに江戸時代にあったよ、という話は面白く、どこまで本気にしていいかわからないもののいわゆる甲州の血の流れを汲む武田家の家臣が全国で商人として台頭してきた、という話は良かったんじゃないかと思います、こういう意味で曖昧なのはいいんだ。
というかどちらかというと甲州商人みたいなのをもっと重点を置いて扱ってくれれば良かったのになぁ、というのが正直なところです。あと小栗上野介と三井の大番頭である三野村利左衛門に交流があったよ、という辺り。
明治政府の初期アウトラインが小栗上野介のものだった、というのは確かにいろんな方向から納得が行くものがあって、だから彼が死んだのだ、というのもいいと思うんですよね、ただ、それ以降がぐっちゃぐちゃなんだよなぁ…現実はそんなきっぱり別れないよ。