「明治維新と領土問題」教育社歴史新書 日本史144、安岡昭男

対ロシアの北方領土問題、対中国の沖縄(琉球王国)と台湾問題、そして欧米人が事実上の雑居をしていた小笠原諸島問題とが順番に語られている本だったんですが(完全に分離はしていないものの、概ね順番に扱われていたようです、当時の外交処理能力的に平行して扱うわけにはいかなかったのかもね)。
まああれだ、ロシアに関しては確かに北方領土に昔から住んでいるのは日本なんですよ。
ただ、今後の継続的な開発を行っていく、という宣言をしていてその実行能力もある。
日本にはその余裕は全くなく、住人の保障をして欲しい、というスタンス。
中国に関しては台湾は明らかに古くから関わっているのは中国で、ただ、台湾で起こった事件の保障をしようとしないとか、実際にその時点で支配は及んでいない。
沖縄に関しては中国は実際には日本の支配下にあるとは思っているものの、そのまま独立を維持して中国との朝貢関係も維持して欲しい、という立場だったようですが。日本はそのまま自国支配下に入れ。

小笠原諸島は日本の実効支配が全くなく、日本人もいないものの、発見などは確実に日本のものであって、英国領土として地図に記されることもあるものの、本当に領土化しようとしていたわけではないようです、むしろ日本が開発するなら歓迎、ただしすでにその地に定着していた住人は認めて欲しいという主張だったようです。
まあ、あれだ、「過去の関係」「今後の開発」「その地で起こった事件の保障」という三点にだいたい絞ると確かに日本は一つ二つは揃っているものの、相手国も一つ二つは揃っているのでそこまで違いはない、ていうか地域ごとで立場が全く変わってるんですよね。
なのに自国を絶対正義だというスタンスを崩さないので…、うーん、要領が悪い。