「近代日本交通史-明治維新から第二次大戦まで」叢書・現代の社会科学、廣岡治哉・編

この少し前に読んでいた『日本交通史』が1992年(平成4年)に刊行されて、こちらの本か1987年(昭和62年)か。で、正直なところ現在2015年もそこまで進んだ分野とは言い難いらしいんですが、少なくとも個別論文くらいしかなさそうだな…。
鉄道に関してもそこまで進んでいないものの、だいぶマシというか。
特に気になった内容が街道の宿駅制というのがあったんですが、これが政府主導によって二転三転しつつ陸運会社へと発展解消したらしいという辺り(多分読んでる限りでは取りこぼしがあったんだと思うんだけどね、その後の地方私鉄の主体として残るようなこともあったのかなぁ、とまああくまで推測ですが)。
今の日本通運の前身なんですがこの時代はそれこそ通運も交通の一部なんだよね、それこそこの本ではあんまり土木系のことが触れられていなかったものの、舗装された道路もないし港湾も近代化されたところが横浜とか神戸とか長崎とか、そもそも元の地形が優れているところくらいしかないんだよね。
で、上の通運会社にしても、そもそも宿駅制の保存と街道の維持を宣言したほんの数ヶ月あとに方針を変更してしまったので「ひょっとしたらこれは鉄道計画絡み?」と推測されていたんですが、それすら確認する術がないようです、時期的には合致しているので十分ありえると思うんだけどね、しかし実際に作り始めると明らかに時期尚早だったよなw
(鉄道は新橋-横浜を作った少しあとくらいに資金枯渇で頓挫しました、ええ。)

 

それと船舶会社を取り巻く諸々の事情、鉄道に関しても順次発展していく歴史が他の交通と絡めて語られているのですが、やっぱり事情が判明してるのが労働運動絡みとか資金の流れとかなんだなぁ、いい本だとは思うんですがもうちょっと進んで欲しいよね。