「斧の文化史」考古学選書6、佐原真

とりあえず話の基本になるのが石斧と鉄の斧による作業時間がだいたい4倍程度の差しかない、というところになるのではないかと思うのですが、このあとに読んだ本で見た打製石器(これが俗に言う旧石器時代)と研磨石器(新石器時代)の違いだとどのくらいになるのかなぁ、というのがちょっと気になってしまったんですが。
どうも鉄の斧と石斧との差よりも大きな差だったような気がするよね。
(要するに「刃」が存在しているのかしていないのかの差ってことになるわけだし。)

そしてそもそもそこまで斧を使う頻度というものが高いわけではない以上、石斧から鉄の斧へと変化した時点で「空いた時間は寝てすごした」というのも実にわかります。
だって家作るんでも1日が3日になったって程度だし、そんなに家建てないよ!!
金属が導入された時点で文明が発祥した、というのが今の時点だと有力な説になっているようで、学者がそう期待していた、というのもわからないでもないんですが、がっかりされる筋合いも別にないよね。
ただ、石斧の場合に非常に意識されていた斧の寿命や、その所有の概念(使うとわりと簡単に劣化することがその理由じゃないかな、夫婦間でも貸し借りに関してががっつり決まっている)が揺らぎ、祭祀の道具として斧が使われるようなこともなくなっていった、というのもまたなんとなく納得。
鉄の斧は購入して、適当に管理するだけのただの道具になってしまった、石斧はそれぞれが管理し、作る時もそれを破棄する時もきちんと意識して行われていた、という変化があるのはなんとなくわかるような気もします。
で、結局金属の導入によって文明が発達したんでしょうかね、時期は合ってるのかな…。