「今昔:鉄と鋳物-日本刀・茶釜・大仏・鐘めぐり」塚原茂男

この前後にちまちまと読んでいたせいでなにがどれだったのかの記憶が薄いんですが、技術を見に行ったり実物を中心に展開している本だったかなぁ、遺跡中心にしていた本なんだったっけ…あ、そうか、冶金考古学の本か。
中で覚えているのが鐘の章で、これのなにが良かったのかというと周辺国での鐘の技術にも触れてるし日本の現存の鐘の流れを追ってるし、現代の技術までまとめてあるんですよね、私、鐘に関してはこれが始めてだったんですが非常に良い内容だったと思います、ここまでちゃんと整理分類されているものなんだなぁ。
それと、正直読んでいて判明していない部分があっても仕方ないんだろうな、としみじみしてしまったのが大仏でしょうか、あー、これはまあ、ここまでいろんな要因が絡まってるとどう足掻いてもなかなか進展しないのはわからないでもない。
修繕や劣化やら、そもそもの計画破綻があるのも、うん、サイズ的にどうしてもね。

ちょっと不満だったのが日本刀と茶釜かなぁ、茶釜に関してはこれは千利休の登場前からシンプルな形状のものが登場していて、「侘び寂び」の概念が利休の始めたものだという意識があるものの、どちらかというとその完成者とするべきなのではないのかという指摘に関してはすごく良かったんですけどね。
そこ止まりだったというか、うーん、本が悪いというより、この後の茶釜の歴史そのものがあまり変化のないものだったということなんだろうか。
茶の湯人口の推移みたいな概念があると面白かったんだろうけどねー。
てか、日本刀が砂鉄由来の鋼って触れられてたのってこの本だったかな? 現代の刀作りは詳しかったんですが、読み応えみたいなものがいまいち。